「アクセス数は増えているのに、問い合わせが来ない」
「月に何千人も来ているのに、なぜ集客に繋がらないのか」
サイト分析をしている経営者から、こういった相談をよく受けます。
話を聞いていくと、多くの場合、見ている指標が間違っています。
アクセス数、ページビュー数、フォロワー数。これらは「たくさんあると嬉しい数字」ではありますが、集客の問題を診断するための指標ではありません。
正しい指標を見れば、「サイトのどこで問題が起きているか」は3つの数字だけで特定できます。
なぜ「アクセス数」を見ても問題は解決しないのか
アクセス数(セッション数・ユーザー数)は、「サイトに来た人の数」です。
この数字が増えることは良いことです。でも、アクセス数が多いことと、問い合わせが来ることは別の話です。
1,000人来て0件の問い合わせのサイトと、100人来て5件の問い合わせのサイト。どちらが「機能しているサイト」かは明らかです。
アクセス数を増やすことに力を入れる前に、「来た人が問い合わせをしているか」を確認しなければ、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けることになります。
英会話教室を支援したときのことです。「アクセスは毎月ある程度来ている」という話でした。でも5年間、サイト経由の問い合わせはゼロ件でした。アクセス数という「手段の数字」を見ていたために、「問い合わせが来ていない」という本質的な問題を見逃していたのです。
最初に見るべき3つの指標
サイトへの流れはシンプルです。
見つけてもらう → 読んでもらう → 問い合わせてもらう
問い合わせが来ないとき、この3つのどこかが詰まっています。以下の3つの指標は、どのステップが詰まっているかを教えてくれます。
指標1:流入元(どこから来ているか)
GA4の「集客」→「トラフィック獲得」で確認できます。
訪問者がどこからサイトに来ているかが、流入元です。主な分類はこうなっています。
- Organic Search:GoogleなどのWEB検索経由
- Direct:URLの直接入力・ブックマーク経由
- Organic Social:SNS経由
- Referral:他のサイトからのリンク経由
なぜこの指標を最初に見るのか
「どこから来ているか」を知らずに集客改善はできません。SNSに力を入れているのにOrganic Socialからの流入がほぼゼロなら、SNSがサイトへの入口として機能していません。Organic Searchが多いなら、検索でのヒット率を上げることが直接集客に繋がります。
フィットネス関連の事業者を支援したときのことです。「SNSをがんばっているから、SNSから来ていると思う」とおっしゃっていました。実際に流入元を確認すると、新規客の流入のほとんどはGoogle検索経由でした。SNSからの流入は全体の数%でした。
この事実を確認したことで、優先順位が変わりました。SNSの投稿頻度を下げ、Googleビジネスプロフィールの整備に力を入れた結果、体験申し込みが安定し始めました。
感覚ではなくデータで「どこから来ているか」を確認することが、最初の一歩です。
指標2:エンゲージメント率(来た人が読んでいるか)
GA4では「エンゲージメント率」として確認できます。
エンゲージメントとは、訪問者が「サイトで何らかの行動をした」状態です。10秒以上滞在した、2ページ以上閲覧した、問い合わせなどのアクションを起こした、のいずれかを満たした訪問をGA4はエンゲージメントありと判定します。
エンゲージメント率が低いということは、多くの訪問者がサイトを開いてすぐに閉じているということです。
なぜこの指標を見るのか
エンゲージメント率が低いページは「訪問者が求めているものと、ページの内容がズレているページ」です。
特にトップページのエンゲージメント率は重要です。ほとんどの訪問者が最初に見るのはトップページです。ここで離脱されているなら、「何の会社かわからない」「自分には関係ない」と判断されています。
よもぎ蒸し店を支援したときのことです。サイトリニューアル前、トップページから他のページへの移動がほとんど起きていませんでした。訪問者はトップページを開いて、そのまま閉じていました。
原因はトップページに「このお店が自分に関係あるかどうか」を判断する情報が少なかったことでした。サービス内容、価格の目安、初回来店の流れをトップページに配置し直したところ、他ページへの移動が増え、問い合わせが発生し始めました。
エンゲージメント率が40〜50%を下回っているページがあれば、そのページの内容か構成に問題があると考えてください。
指標3:コンバージョン数(問い合わせに至っているか)
GA4の「コンバージョン」で確認できます。ただしこの指標は、事前に計測設定をしていないと表示されません。
コンバージョン計測とは、「問い合わせフォームを送信した」「電話ボタンをタップした」などの目的行動をGA4に記録させる設定です。
なぜこの指標が最重要なのか
問い合わせ数を計測していない状態では、サイト改善の効果が判断できません。「流入が増えた」「エンゲージメント率が上がった」という変化があっても、「問い合わせが増えたかどうか」がわからなければ、改善が正しい方向に向かっているかどうか確認できないのです。
さらに、コンバージョン計測があると「どの流入元からの訪問者が問い合わせをしているか」という分析ができます。たとえば「検索から来た人は問い合わせをするが、SNSから来た人はしない」という事実がわかれば、施策の優先順位が明確になります。
コンバージョン計測が設定されていない場合、他の指標を見る前にこれを設定することが最優先です。計測できていないものは改善できません。
3つの指標を組み合わせると「問題の場所」が特定できる
3つをセットで見たときに、何が見えるかを整理します。
流入元は多い / エンゲージメント率は低い / コンバージョンが少ない
→ 訪問者は来ているが、サイトの内容が刺さっていない。トップページや流入の多いページの内容・構成を見直す。
流入元は多い / エンゲージメント率は高い / コンバージョンが少ない
→ 読まれているのに申し込みに至っていない。問い合わせへの導線、料金の明示、申し込みのハードルに問題がある可能性。
流入元が少ない / エンゲージメント率は普通 / コンバージョンも少ない
→ そもそも見つけてもらえていない。検索対策、SNS連携、Googleビジネスプロフィールの整備が優先。
コンバージョン計測がされていない
→ 何も判断できない状態。設定が最初のタスク。
問題のパターンが特定できれば、「次に何をすべきか」が決まります。思い込みで施策を打つのではなく、データから問題を特定してから動く。これがサイト改善の基本です。
「良い数字」より「正しい問い」を持つ
アクセス数が増えると嬉しくなります。フォロワーが増えると手応えを感じます。
でも「問い合わせが来ているか」という問いに答えられない数字を追いかけていても、集客の問題は解決しません。
最初に見るべき3つの指標は、全て「問い合わせが来ているかどうか」に繋がる数字です。この3つを毎月確認するだけで、「今サイトのどこに問題があるか」が見えるようになります。
難しいツールは必要ありません。GA4に正しい設定がされていれば、月に30分の確認で十分です。
今すぐ確認できること
□ GA4は設置されているか
サイトにGA4のタグが入っているか確認します。
□ コンバージョン計測は設定されているか
問い合わせフォームの送信がGA4に記録される設定になっているか。未設定なら最優先で対応。
□ 最も多い流入元はどこか
「Organic Search」「Organic Social」「Direct」の比率を確認。想定と実態にズレはないか。
□ トップページのエンゲージメント率はどのくらいか
50%を下回っている場合、トップページの内容か構成の見直しが必要。
□ 流入が多いページで直帰率が高いページはないか
そのページがサイトの「詰まっている場所」です。
「確認してみたが、数字の読み方がわからない」「問題の場所はわかったが、どう直せばいいかわからない」という場合は、ヒアリングの中で一緒に整理します。GA4の画面を共有していただければ、どこから手をつければ成果に繋がるかを具体的にお伝えできます。