毎月、何度もギックリ腰になるサロンのオーナーがいました。
顧客の満足度は高く、既存顧客からのクチコミで集客は安定していました。でも、オーナーの体が壊れていく。このまま続けたら、事業そのものが立ち行かなくなる。
その経営者は、「WEBでの集客も必要かもしれない」と考えていました。でも、実は、WEBの前にやるべきことがありました。
それは、『事業の整理』です。
このオーナーの事例を通じて、「WEBサイト制作の前に必要な、本当に大切なこと」が見えてきます。
ビフォー:成功しているように見えて、実は破綻しかけていた
表面的には「上手くいっている」
このサロンは、既存顧客からのクチコミのみで集客していました。
顧客の満足度は高く、リピーターもいます。WEBでの情報発信はGoogleマップのみで、更新方法もわかっていない状態。
でも、外からは「安定した経営」に見えていました。
でも、本当の課題は見えていなかった
ヒアリングをしていく中で、本当の課題が見えてきました。
オーナーは「顧客との関係を大事にしたい」という想いから、顧客に対して過剰なサービスを提供していたのです。
具体的には:
- 足湯をサービス(本来はオプション価格をつけるべき)
- よもぎ蒸し後のドリンクサービス(こちらもオプションにすべき)
結果、何が起きていたのか。
足湯のために、重たい機材を毎回運ばなければならず、頻繁にギックリ腰になっていました。
ドリンクを飲みながら、顧客と長時間話すようになり、回転率が極端に低かった。
そして、もう1つ。
顧客の満足度に対して、オーナー自身が「このまま続けるのはできない」と感じていました。利益もほとんど出ていなかったのです。
つまり、「顧客満足度は高いけど、事業としては破綻しかけている」という、本末転倒な状態だったのです。
本当の課題を見えさせるプロセス
では、どうやって「本当の課題」を見つけたのか。
それは、ヒアリングです。
「今何をやっていて、何が不満・困っているのか」を丁寧に聞いていくと、見えてくるのです。
このオーナーの場合、「顧客との関係が『家族』のようで、顧客の満足度に対する責任感が強い」という特性から、「結果として、サービスが過剰になっていた」という課題が見えてきました。
これは、数字だけを見ていては見えない課題です。
私たちが、経営者の考え方、行動パターン、顧客との関係性を理解してこそ、初めて見えてきた課題なのです。
事業整理:『やること』『やらないこと』『オプション化すること』の再定義
課題が見えたら、次は「事業の再定義」です。
このサロンでは、以下のように整理しました:
足湯について
ビフォー:
「サービスの一部として提供(無料)」
→ オーナーが重い機材を運ぶ→ ギックリ腰
アフター:
「オプション化(有料)」
→ 希望する顧客のみ申し込み
ここで重要なこと:
段階的に変更し、顧客に納得感のある案内を行いました。「原価高騰などと合わせて説明する」という、顧客心理への配慮も含めました。
その結果、顧客離れはありませんでした。
ドリンクサービスについて
ビフォー:
「サービスの一部として提供(無料)」
→ 顧客がドリンクを飲みながら長時間滞在→ 回転率低下
アフター:
「オプション化(有料)」
→ よもぎ蒸しが終わったら、すぐに店舗を出る顧客も増加
ここで重要なこと:
これにより、「1日のサービス提供数が増え」「顧客の回転率が上がり」「売上が増えました」。
同時に、「ドリンク代金が追加で発生するので、実際には顧客からの追加収入も増えた」というメリットもあります。
結果:オーナーの『働き方』『利益』『顧客層』が全て変わった
オーナーの体の負担が劇的に減った
ギックリ腰は「常にギックリ腰になっていた」状態から、「ほとんどならなくなった」に変わりました。
これは単なる「体が楽になった」という話ではなく、「事業を継続できるようになった」ということです。
オーナーの健康なくして、事業は成り立たないのです。
回転率が上がり、利益が出るようになった
ドリンクサービスをオプション化したことで、よもぎ蒸し後の滞在時間が短くなりました。
結果、1日のサービス提供数が増えました。
同時に、ドリンク代金という追加収入も発生するようになりました。
つまり、「同じ労働時間で、より多くの顧客にサービスを提供でき、かつ単価も上がった」という状態になったのです。
そして、WEBの出番がやってきた
事業が整理されたら、次が「WEBサイト制作」です。
このオーナーは、以下のような順序で進めました:
- 事業整理:約1ヶ月
- サービス内容の再定義
- オーナーの負担を軽くする工夫
2. WEBサイト制作
- 新しいサービス内容を前面に出す
- オーナーのストーリーを伝える
3. 公式LINE 立ち上げ
- 既存顧客との関係を深める
4. Instagram 立ち上げ
- 新規客への認知を広める
ここで重要なのは、「WEBを先にやらなかった」ということです。
もし、事業整理をせずにWEBだけをやっていたら、どうなっていたでしょうか。
「新規客が増えても、オーナーの負担がさらに増える」という悪循環に陥っていたはずです。
来客数2倍という結果:その内訳を見ると、コンサルティングの価値が見える
事業整理からサイト制作まで、約1ヶ月。
その後、サイト公開から効果が見え始めるまで、約半年かかりました。
そして、1年間で来客数が2倍になりました。
その内訳は?
来客数2倍の内訳は、以下の2つです:
- 新規客の増加
- SNS(Instagram)で初めて店舗を知った完全新規客
- サイト経由で初めて来店した新規客
2. 既存顧客の戻り
- 来なくなっていた過去の顧客が、SNSで再度発見・思い出してくれて戻ってきた
ここで気づくべきポイントがあります。
「来客数2倍」は、WEBだけの成果ではなく、「事業整理によって『提供できるサービスの質と量が上がった』ことで初めて可能になった」という点です。
事業整理がなければ、新規客が増えても対応できず、顧客の満足度も下がり、ネガティブな口コミも増えていたかもしれません。
ここから学ぶべき、3つのこと
1.『顧客満足度の高さ』と『経営の健全性』は別
このオーナーのケースでは、顧客満足度は高かったです。でも、利益は出ていず、オーナーは体を壊していました。
つまり、「顧客満足度が高い=事業が上手くいっている」とは限らないのです。
経営の視点では、『持続可能な事業であるか』が最も重要です。
2.『サービス過剰』は、実は『顧客への失礼』
このオーナーは、「顧客を大事にしたい」という想いから、過剰なサービスを提供していました。
でも、その結果、オーナーが体を壊し、事業が破綻しかけていたのです。
もし事業が立ち行かなくなったら、顧客に迷惑をかけることになります。
つまり、「オーナーの体を守り、事業を継続する」ことが、最終的には「顧客への最大のサービス」なのです。
3.『WEBは手段』『事業整理が目的』
多くの経営者は、「WEBをやれば集客が増える」と考えます。
でも、本当は違います。
WEBは『手段』に過ぎません。本来の目的は「事業が持続可能で、かつ顧客の満足度を保つこと」なのです。
その目的を達成するために、「事業整理が必要」な場合があります。
このサロンの例では、事業整理があったからこそ、WEBの効果が最大限に発揮されたのです。
あなたのサロン・店舗は大丈夫ですか?
以下のチェックリストで、自社の事業を診断してみてください。
□ 顧客満足度は高いけど、利益がほとんど出ていない
□ 経営者の体や心に負担がかかっている
□ やるべきでないサービスを「顧客のために」と思ってやっている
□ 「これ、本来はオプションでいいのでは」と思うサービスがある
□ 1日のサービス提供数が少ないわりに、時間がかかっている
□ 新規客を増やしたいけど、「これ以上は対応できない」と感じている
1つでも当てはまれば、『事業整理』の時期かもしれません。
最後に
WEBサイト制作は、多くの場合「その後のステップ」です。
その前に、『事業そのものが健全であるか』『オーナーが持続可能な働き方ができているか』を見直す必要があります。
このよもぎ蒸し店のオーナーは、その『事業整理』を通じて、来客数2倍という結果を手に入れました。
でも、実は、最大の成果は「来客数2倍」ではなく、「オーナーが体を壊さなくなり、事業を続けられるようになったこと」なのです。
あなたのビジネスも、WEBを導入する前に、本当に必要なステップがあるかもしれません。
一度、経営視点で事業全体を見直してみてはいかがでしょうか。